探偵ブログ

探偵業法とは

探偵業に関する法律として「探偵業法」という法律がありますが、興信所も尾行・張り込みを行う浮気調査等の営業をする上では探偵業法による規制を受けます。

この探偵業法に違反すると探偵事務所や興信所は行政処分や刑事罰を受けることになるのですが、具体的にどのようなケースが違反となるのかはそれほど知られていないのではないかと思いますのでここでご説明したいと思います。

1.無届け営業

探偵業は、営業所の所在地を管轄する警察署への営業開始届出が義務づけられています。その届出を行わずに営業をした場合は違反となります。

2.欠格事由のある者が代表者又は役員をしている

欠格事由とは「資格を持たない」という意味であり、下記項目が該当します。

・禁固以上の刑もしくは探偵業法違反による罰金刑を受けてから5年を経過していない。

・破産者であり復権していない。

・暴力団員、又は暴力団員でなくなってから5年を経過していない。

・成年擬制を経ていない未成年者、もしくはその法定代理人が上記項目に該当する。

・法人で役員のいずれかが上記項目に該当する。

3.名義貸し行為

他人に探偵業(興信所)の看板を貸して営業させることは違反行為です。

4.人の生活の平穏を害する行為

探偵・興信所の尾行や張り込みは原則として合法ではありますが、どんな風に尾行・張り込みしてもよいというわけではありません。

例えば、対象者等に尾行・張り込みが発覚し、相手に不安や恐怖を与えてしまうような尾行・張り込みは違反となってしまいます。

5.誓約書の交付を受ける義務違反

探偵業者(興信所)は「調査結果を犯罪や違法・差別行為に用いない」という内容の誓約書を依頼者と取り交わさなければなりません。

6.重要事項説明義務違反

探偵業法に定められている「重要事項」という項目について、依頼者が理解できるよう事前に説明を行う義務があります。

重要事項には、調査にかかる費用・経費の金額(概算額)、支払時期、支払い方法、契約の解除に関する事項、個人情報保護に関する事項などがあります。

7.契約の内容を明らかにする書面(契約書)の不交付・不備

契約の内容とは、浮気調査など具体的な調査の内容、及び契約時間や契約料金等の詳細についてです。

以前から業界内で契約に関するトラブルが頻発していることもあり、「契約書」の取り交わしは必ず行わなければなりません。

8.犯罪への加担・差別調査

依頼者から受けた調査の結果が犯罪行為(例えばDV被害者の所在探しなど)や差別・違法調査に用いられると知った時、探偵業者がその依頼を受けたり、調査中にその事実を知っても調査を中止しなかった場合は違法となります。

9.無届け探偵業者への業務委託

一般にはあまり知られていませんが、探偵業界では他社に業務の一部を委託(下請け)することがあり、その業務を無届け営業の探偵に委託した場合は違反となります。

10.守秘義務違反

探偵・興信所には守秘義務があります。調査で得られた情報を第三者等に漏洩させてはなりません。

営業停止・営業廃止

探偵もしくは興信所が探偵業法違反・その他の法令違反をした場合、公安委員会から営業停止もしくは営業廃止命令を受けることがあります。

営業停止・営業廃止処分を受けた探偵・興信所は、名称とともに処分の内容が警察のウェブサイトに公開されてしまいますので、実際に営業が止まるだけでなく以後の活動にも大きく影響してしまうでしょう。

罰則

探偵業法違反にはそれほど重い罪はありませんが、懲役・罰金等の前科がついてしまいますし、もちろん以後の活動に大きな影響・制限を受けることになります。

(主な違反内容と罰則)

1.営業停止・営業廃止処分違反

→一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金

2.無届け営業・名義貸し・公安委員会からの指示に対する違反
→六月以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金

3.届出書の虚偽記載・重要事項説明書の不交付・従業者名簿の不備もしくは虚偽記載・警察の立ち入り検査の妨害等
→三十万円以下の罰金

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